JR久留里線の旅に行ってきました。
久留里線は、一般的なローカル線同様、朝・夕を除くと、列車の本数が激減します。朝10時頃に木更津駅に着いたので、本当は早めに久留里方面に行きたかったのですが、次の列車は11時12分までありません。それで、始発駅である木更津を少し歩いてみることにしました。

そもそも木更津駅は初めて降りたのですが、街や道路が海のイメージに整備されていて、海から離れた場所に住んでいる私にとっては、海辺の町にやってきたんだなあっていうワクワクした気持ちになれます。

町のいたるところに、あまり海とは関係ないはずのタヌキの置物や看板があって、どうしてだろうって調べてみたら、木更津市は、「しょうじょうじのたぬきばやし」のモデルとなった證誠寺がある街と知って、ひとつ勉強になりました。小さい頃、意味も分からず歌っていましたが、実は悲しいお話だったんですね。でも、どうしてタヌキがお腹を割って死んだのかという根本的な疑問が残りました。

久留里線はまるでバスにでも乗っているかのような印象でした。乗るときに整理券を取って、降りるときに運賃表を見て料金を調べ、お金を運賃箱に入れるんです。私は青春18切符で行ったので、運賃は入れませんでしたが、それがとても面白く感じられました。2両連結の列車でも運転手のいる1両目まで行って降りないといけないので、のんびりしていると降りれないことだってあるんじゃないかなって思ってしまいました。あと、運転席の近くに「運転手に話しかけないでください。」って書いてあったのですが、これもバスを印象付けるものでした。

久留里は城下町で山の上にお城があるのですが、駅周辺からは見えません。でも街には今でも多くの古い建物が残っていて、城下町であることが伺い知れます。お昼を食べようとあてもなく歩いていると、「久留里庵」という古びた建物のお店を発見しました。

カレーうどんが有名なお店らしく、TOKIOの長瀬さんらも来店されたようです。ここのカレーうどんで変わっているなって思ったのが、うどんの上にてんぷらを乗せて、その上からカレーをたっぷりかけるところです。てんぷらとカレーとうどんの取り合わせ、私には未知な経験でした。この店は、久留里の地域に住んでいる人が普通に食事に来るような場所で、この日も作業着来た人が大勢お昼を食べに来ていました。お店の店員さんとお客さんのやりとりを聞いていると、このような地方の繋がりっていいなって思わされました。

久留里はさすがに自然が豊かで、つくしが生えていたり、竹林が多くありました。ちょっと竹林に入ってみたのですが、竹が倒れて斜めに積み重なっているところがあり、風が吹くたびに、竹同士がぶつかってカランコロンと音を立てるので、天狗でも出てくるんじゃないかと思いました。駅前にはなぜか水汲み場があって、街の人たちが大勢水を汲みに来ています。なぜわざわざ駅まで水を汲みに来るのだろうかと思ったので、あとで調べてみると久留里は名水100選にも選ばれていて、駅前だけでなく、街中で水が汲めるところがいくつかあるそうです。そんなことなら飲んで来ればよかったと思いました。

そして、13時50分に、いよいよ久留里から終点の上総亀山を目指しました。13時50分と言ってもこれが8時14分の次の列車でなんと5時間36分も間が空いています。普段東京で電車の時間も調べずに駅に行って電車に乗るというのに慣れてしまった私にとっては、ちょっと異空間に来た感じでした。上総亀山は終着駅ですが、もともとは外房線の大原まで繋がって木原線となるはずでした。結局、それはかなわず、上総亀山と大原から伸びてきた上総中野の間が未開通のままになってしまったんです。

上総亀山では、亀山湖を目指しました。亀山瑚は人造湖ですが、秋の紅葉は有名で、観光客で賑わうそうです。今日は観光客はほぼいなくて、数人の鉄道ファンが降りて駅や列車、線路の終端となった車止めの写真を撮っているだけでした。亀山湖畔は公園も整備されて、のんびりすることができます。太陽の光が湖面に反射し、水がキラキラ輝いているのがとても綺麗でした。


私は夕方の列車で東京方面に帰る予定でしたので、帰る前に何か食べていこうとお店を探したのですが、なかなか見つかりません。まだ午後4時前なのに、さっきまで営業していたはずのお蕎麦屋さんまで既に閉店しています。

探せども探せどもコンビニどころかお店さえありません、仕方なく上総亀山駅に戻り、駅前にあった居酒屋に入ろうとしましたが、ここが地元の人のたまり場になっていて、既に大勢がカラオケで酔いしれている状態です。足の踏みどころもなかったのでやむなく居酒屋を出て、隣の雑貨屋でかろうじて売っていた菓子パンを買ってそれをほおばるしかありませんでした。

そうこうしているうちに、帰りの乗る列車が到着しました。列車から降りてくる人は、駅の出口に向かうかと思えば、なんとそのままホームの先にすたすたと歩いていって線路を横切って、家路に急ぎます。「えっ?こんなの許されるの?」って思いましたが、終着駅で、列車の本数も少ないので、運転手さんも見て見ぬふりをしているようです。さすがローカル線だなって思わずにはいられませんでした。