今回は千葉県の銚子電鉄に乗ってきました。銚子電鉄と言えば、何度も廃止の危機に立たされながら、ぬれ煎餅を売ったり、駅名の命名権を募集したりして、乗り越えてきた鉄道会社です。沿線には、見どころやグルメスポットも多く、とても楽しみにしていました。

まずは銚子を散策しました

青春18切符を使って4時間かけて銚子にやってきました。さすがに神奈川県からやってくると遠いですね。銚子といえば醤油が有名ということで、しょうゆソフトを食べるために、『まちの駅 銚子セレクト市場』にやってきました。ここは銚子の駅からも近く、お土産屋さんだけでなく銚子のいろいろな食べ物が食べられるので、銚子に来た際には寄ってみるといいかもしれません。目的のしょうゆソフトの味は…、みたらし団子をさらに甘くしたような味で、ちょっと懐かしい感じでしたが美味しかったです。

ここから少し歩くと、眼の前がぱあって広がります。海かなと思うと実は川、ここは利根川の河口です。河口といっても港もあり、海となんら変わりがありません。潮の香りもぷーんってしてきます。

銚子では頼まれたお土産があったので、次はそれを買いに行きました。銚子駅の反対側にある『山口製菓鋪』というお店に売っている『醤油ラスク』です。以前TBSテレビの『がっちりマンデー』で紹介されたこともあり、お店の前には大きな看板もあり、どんな味だろうと期待が膨らみます。お店に入ってみると…、なんと売り切れ、かなりへこみました。仕方なく、銚子電鉄の旅をスタートしようと駅に戻ると、電車は数分前に出たばかりで、次の電車までは1時間半もあるとのこと、甘く見てました、東京の感覚が抜け切れてませんでした。

仕方なくお昼を食べることに

気を取り直してお昼を食べるために、ネットで調べると…、銚子で人気NO.のお店が近くにあるようなので、そこで食べようと思ったのですが、着いてみると、閉まっています。えー、今日は定休日じゃないのに。今回の旅は、はじめから全くツキがありません。ということで、仕方がないので再び『まちの駅 銚子セレクト市場』へ。『ちょうしがよくなるくらぶ』というお店で『のぼりちょうし!きざみうなぎ丼』をいただきましたが、このお店、『ちょうしがよくなるくらぶ』というだけあって、すべて健康を意識したメニューになっています。『まごわやさしいこ』定食というのもあったのですが、まめ、ごま、わかめなど地元産の自然な食材の頭文字をとって、この名前にしたとのことです。お腹もふくれ、元気もいただきました。

そしてようやく銚子電鉄に

銚子駅で、銚子電鉄のフリー切符『弧廻手形』を買って、ついに銚子電鉄に乗ります。銚子駅には既に電車が止まっており、銚子電鉄で話題の車掌さんにも会えました。後で気が付いたのですが、日中、私が乗ったすべての電車にこの車掌さんが乗っており、もしかしたら、休みなく働いているのかなって思ったほどです。そうするとお昼の時間に1時間30分も電車が無かったのも納得です。その時間は、もしかしたらお昼休憩にあてているのでしょう。

銚子電鉄は何度も廃止の危機にあったローカル線です。でも他のローカル線と違うところがあります。それは、多くの駅に、駅員さんがいて、昔ながらの出札口があって、一人一人切符を手売りしています。無人駅から乗ったお客さんには昔のバスのように、車掌さんが切符を売りに来ます。私は知らなかったのですが、信号機の代わりにタブレットと言うものを使っている光景を見たとき、この世の中に、まだコンピューターのない世界があるんだって思ったほどです。

髪毛黒生(かみのけくろはえ)駅で降りてみた

銚子電鉄に乗ってみたいと思ったひとつに、髪毛黒生(かみのけくろはえ)駅で降りてみたいというのがありました。正式名称は、笠上黒生駅(かさがみくろはえ)というのですが、育毛シャンプー企業がこの駅の命名権を買って、それ以来、髪毛黒生(かみのけくろはえ)駅という名前になったのだそうです。

ここから隣の西海鹿島(にしあしかじま)駅、その隣の海鹿島(あしかじま)駅まではとても近いので、2駅歩いてみました。なんとものどかです、どちらも無人駅ですが、海鹿島駅は関東地方最東端の駅だそうで、『とっぱずれ』という駅名がついています。

銚子電鉄の中心駅、犬吠(いぬぼう)に到着

そして、銚子電鉄の中心駅と言える犬吠駅に到着しました。ここは山頂、離島を除き、日本一早い日の出が見られるという犬吠埼の最寄り駅です。銚子電鉄のフリー切符『弧廻手形』を買うと、特典として、この駅でぬれ煎餅が1枚いただけます。しっとりした感触でとても美味しかったです。また、以前は観音駅にあったというたい焼き屋さんがこの犬吠駅で営業を続けています。

天気はあまりよくありませんでしたが、せっかくなので、犬吠埼にも行ってきました。この日は、雨こそ強くないものの風が強く体が吹き飛ばされそうになります。灯台付近から海岸にも降りてみましたが、強い風のため、スカートはマリリンモンローのようにふわっとなり、波が「バチャーンバチャーン」とまるで生きているかのように高く舞い上がりました。ちょっと怖いくらいだったので、水辺には近寄れなかったほどです。

最後は、終点の外川駅周辺を散策

犬吠駅の隣が終点の外川駅です、この駅の別名が『ありがとう』駅。銚子電鉄は、いろんな人の支援があって、また地元の人だけでなく、多くの人が遠くから乗りに来てくれて、今でもこうして走り続けています。そんな感謝の気持ちを込めて、終点駅外川駅の別名は『ありがとう』となったのかもしれません。

外川駅の構内にはとても古くちょっとさび付いたような電車が止まっています。この電車は、1985年に放送されたNHKの朝の連続テレビ小説『澪つくし』に因んで塗装されたものだそうですが、老朽化したことから、今では走ってはいないようです。外川駅から10分ほど歩くと、外川港に着きます。とても小さな港ですが、釣りを楽しみに来る人も多いようです。

銚子電鉄に乗ってみて

最近は車の波に追われ、採算の取れない鉄道は次々と廃止されていると聞きました。そんな中、銚子電鉄は元気に走り続けています。いろいろなものがコンピュータによって自動化されたこの世の中で、自動化から取り残されたような鉄道です。私は『昭和』という時代を生きていませんが、銚子電鉄は今も生き続けている『昭和』なんだと感じさせられました。これから先も変わらず『昭和』な鉄道であり続けてほしいと思います。